2006年 06月 04日

森の暮らし始まる

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1999年5月
ゴールデンウイークと言えどもここ八ヶ岳南麓はまだまだ寒く、当然ストーブが必要となります。
幸い少々古いが石油ストーブが残されていたのでこれでしばらく我慢です。そして寝具は当然シュラフ、家の中でのキャンプ生活です。
しかしこれがなかなか楽しいのです、またこれが楽しめないようでは、森の暮らしなどできはしないでしょうけど。
古い石油ストーブにかじりつきながら、森での暮らしに思いをはせ酌み交わしたビールの旨いこと。

森は、日が暮れるのが早く、夕日がきれいだなーと思っているとすぐに真っ暗闇となります。
この暗闇が尋常でありません、「真の闇」一寸先も見えないとは本当なのです。懐中電灯なしには、一歩たりとも歩けません。
やっと森をぬけると、そこには満天の星、それはそれは言葉では到底表すことの出来ないほどの美しさです。
家内と「昴」を見つけはしゃいだのを、今でもはっきり記憶しています。

森で過ごす最初の夜、いや明け方でしょうか
まだ窓の外は真っ暗です、いきなりドアをノックする音に飛び起き、何か緊急事態でもと恐る恐るドアを開けてみます
しかしそこには誰もいません、真っ暗な闇が広がるばかり。
しばらくすると再びノック、静けさの「シーン」が耳についてうるさいほどの静けさの中

ノック音が森に響きわたります。

家内と顔を見合わせ再び、ドアを開けてみますが誰もいません。

やっとアカゲラの仕業と解ったのは、しばらくしてから。


森での最初の朝はアカゲラの突然の訪問で明けたのでした。時計はAM4:30を指しています、森は早起きです。
この頃になると一斉に鳥が鳴き始めます。
1,200mという標高のせいかどうかわかりませんが、こちらに来ると異常に良く眠れます。
みんなそお言います、家内もそうだと言いますが、それはいつものことです。
そんな訳で私もずいぶん早起きになりました、家内は歳のせいだと言いますが決してそれだけでは有りません。
標高のせいだと私は一人思っているのです。

確かにこのあたり、スポーツ選手の高地トレーニングが盛んです。
鹿の湯という温泉のあるホテルでは、オリンピックの強化合宿も行われていて、柔道の山下監督と露天風呂でご一緒したことも有るのです。


1999年6月
さて次は、経師工事(壁紙を貼る工事)です。
自宅の壁も自分で貼っているので慣れてはいますが結構たいへんな作業であります。
幸い仕事関係の友人(写真経師のプロ)が山荘の見学がてら手伝いに来てくれることになりほっとした次第です。
友人を迎えるとなればやはりバーベキュー、早起きついでに焚き火サイトを作る事にしました。
森では長年落ち葉が蓄積し腐葉土となっているため、無闇に焚き火は御法度なのです。消したつもりでも火種が地中に残り何日も後に別の場所から燃え出す事も有るからです。
このため、焚き火をするには専用の炉が必要となるのです。
土を約50から60センチほど掘り下げ、砂利を敷き、その上に平たい石を並べます、そして同じく石で壁を作ります。
最後に炉の廻りにも何列か石を敷き詰め、廻りの落ち葉に燃え移らないようにして、これで完成です。
冬の間に落ちた枯れ枝を燃してみますと、地面の緩やかな傾斜が幸いしたのか素晴らしい燃え方でついつい嬉しくなります。
そして朝早く家内を起こして叱られます。

連休に友人が専門の経師道具持参で来てくれました、経師材はすでに用意できています。
仕事でうまく余るように調整発注した、残り物(残した物)です。
さすがプロ、手際が良い、夕方までに壁の大方が貼り終えます。
作業はこの辺にして温泉、後は出来たてのファイヤーサイトでバーベキュー。

森のこと、鳥のこと、山菜の話、焚き火を見ながらの話は尽きません、大いに呑みます。

友人のお陰で壁までは貼り終えましたが、まだ天井が残っています、それも吹き抜け部の天井です。
壁紙を裁断し刷毛でのりを敷き、のりの面同士を重ねるように折り畳む、こうすると時間がたってものりが乾きにくく
ビニールの袋に入れておけば二三日は、大丈夫なのです。
2.1mの脚立上での作業は容易ではありません、特に天井面の経師となるとこれは大変です。
ここを押さえればあそこが落ちてくる、の連続。何とか手前の一面を貼れればほぼ成功です、あとは刷毛で前へ前へと押さえて行きます。
やっと吹き抜け天井を貼り終えた時には、二人とも座り込んだまま、しばらくは動くことさえ出来ない状態でした。

もちろん足腰が立たなかった事もあるのですが、それに増してやり遂げた満足感で一杯なのでした。

しばらくの放心状態の後疲れた体を温泉で癒し、貼り終えた天井の下で飲むビールもまた格別なのです。

向かいの区画にタラの木が沢山自生しています。
少しだけ新芽を頂き、友人の近くの森から頂いた「コシアブラ」の新芽も一緒に天ぷらに、これが実に旨いのです。

とは言え、あくまで山菜です、少しだけ森からの分け前にあずかります。
これが山菜の味わい方だと私たちは思っています。
鎌を携え木の芽を根こそぎ切ってゆくセミプロに、怒りを感じるのは私だけでしょうか、切られたタラは決して芽を吹く事はありません。
そこまでして木の芽を食べたくはありません。

床も張り、壁も一応貼り終えました、しかし部屋の真ん中に荒削りのままの柱が残っています。
本来壁の中に収まっていた為、何の化粧もされていない柱です。
かと言ってどっしりとした風格も無い貧弱な柱。
どうした物か思案の末、麻縄を巻くことにしました。
20mの麻縄を巻いたが少し足りませんでしたが、なかなかシヤレた感じに仕上がったと思っています。

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1999年7月 
いよいよ夏です、八ヶ岳の一番過ごしやすい季節です。
家の中も少しずつ落ち着いてきました、ぼちぼち森の手入れをしなければなりません。
森は、冬の間に落ちた唐松の枯れ枝が散乱し、クマザサは伸び放題。
まずは枯れ枝の片付けからです、これが又集めてみればすごい量、2t車では積みきれないくらいです。
いよいよ、ファイヤーサイトの出番です。
集めては燃やし、集めては燃やし、丸一日燃やし続けてまだ余ります、すごい量です。

これでやっと念願の草刈りが出来ます、びっしりと茂ったクマザサを早く刈りたくて仕方なかったのです。
しかし草刈りは大変です、特に私のように腰に爆弾を抱えている者には最悪です。
見るに見かねて友人が西洋の「死に神」が持っていそうな柄の長い鎌をくれました、腰を曲げずに刈れるので助かります。
合計5日くらいかけて一応刈り終える事が出来ました、とは言え週末族にしてみれば約一ヶ月です。

しかしクマザサは、一筋縄ではいきません、地下茎がある限り後から後から生えてきます、イタチごっこなのです。
このため土を丸ごと入れ替える人も少なくありません、でも私たちにはそこまでは出来ません、イタチごっこを覚悟しなければなりません。
ところが丹念に(執念深く)芽が出れば摘む,を繰り返すうち、だんだん生えてこなくなるのも事実なのです。
しかしそれも一時のこと、芽が出れば摘むを怠ればてきめんクマザサの森となります。
すさまじき生命力なのです。


1999年8月 
森で迎える始めての夏休です。
まだまだゆっくりと出来るわけでは無いけれど目一杯長期休暇を申請し、短い八ヶ岳の森を楽しむつもりです。
しかし、この時期にやっておかなければいけない多くの仕事も待っています。
まず最初は、駐車場作り。
これまでは、路上駐車だったのですが、冬の雪掻きのブルトーザーに潰される恐れがあり、森の中にスペースを作ることにしたのです。
唐松を2本伐採、始めての木こり体験、やり方は、テレビ番組で覚えたやり方の実践なのです。
まず枝打ち、出来るだけ枝を落とす事で倒れたとき他の木に与える影響を最小限にします。
次に出来るだけ高い位置にロープを掛け倒す方向に取り付けた滑車に通し、伐採する木の近くに持ってきます。
このロープを手動ウィンチに繋ぎ、樹木を倒そうとする方向にチェーンソーでV字にカット、手動ウィンチを締め上げながらV字の反対側にチェーンソーを入れてゆきます。
手動ウィンチを締め上げチェーンソーを入れる、それを数回繰り返し手動ウィンチを一気に締め上げると、思い道理の方向にゆっくりと倒すことが出来のです。
思ったよりうまく行きました。予想外だったのは「木の高さです」目測の1.5倍も有り危なく隣地に被害を与えるところでした。

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                              HP「木洩れ日の森から」より転記いたしました


by takibiyarou | 2006-06-04 00:04 | 木洩れ日の森 | Trackback | Comments(0)
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