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木洩れ日の森から

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2011年 07月 20日

いにしへの琥珀のかほり

電気ブランといふお酒をご存知でしょうか
東京ではかなり有名なお酒です
まだ電気が珍しい明治の頃、浅草は雷門の神谷バー
電気ブラン(当時は電気ブランデー)といふハイカラなカクテルが登場して話題を呼びます
この神谷バー、文学にも盛んに登場いたしします、当時の有名な社交場だったようです

一人にて酒をのみ居れる憐れなるとなりの男なに思ふらん  
(神谷のバァにて) 萩原朔太郎

昭和三十五年芥川賞 三浦哲郎  「忍ぶ川」
「でもせっかくのやすみだから、栃木へいってきた方がよくないかな」
栃木には志乃の父、弟妹たちがいるのである。
「ええ。・・・・・でも、せっかくの休みだから、ふだんできないことをしたいんです。やっぱし、浅草へいきたいわ」
中略
「だけど神谷バーってのはいまでもあるのかな」
「ええ、あると思いますは。いつか栃木へ帰るとき、ちらっっとみたような気がするんですの。
映画見て、神谷バーへいって、あたしはぶどう酒、あなたは電気ブランで、きょうのあたしの手柄のために乾杯してくださいな」

他にも石川啄木、高見順、谷崎潤一郎、坂口安吾、などなどにも登場いたします

                                    「デンキブラン」今昔二 より
また
太宰治は作品『人間失格』の中で、「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し、……」と書いている。
あがた森魚が1972年にリリースしたアルバム『乙女の儚夢』には、神谷バーと電気ブランを謳った曲「電気ブラン」がある。
作家の森見登美彦の小説『夜は短し歩けよ乙女』及び『有頂天家族』には、偽電気ブランと呼ばれる
電気ブランを真似して造られた酒らしきものが出てくる。
1985年に刊行された須藤真澄の漫画短編集に『電氣ブラン』(東京三世社刊)がある。なお、作中には電気ブランの描写は全くない。
のちに竹書房から再刊された版は新字体で『電気ブラン』となっている。
  
                                     ウィキペディアより

このデンキブランなるお酒
 明治13年 初代神谷傅兵衛が”みかわや銘酒店”として洋酒の一杯売りを始める
 明治14年 蜂印香竄葡萄酒(ハチジルシコウザンブドウシュ)誕生
 明治15年 電気ブランデー誕生

 明治45年 店内を西洋風のバーに改造
         日本で初めてのバー”神谷バー”誕生
                                     「デンキブラン」今昔一 より
とありますので約130年の歴史を持つ明治、大正、昭和の香りのお酒であります

成分はブランデーをベースに、ワイン、ジン、キュラソーそして薬草が配合されている。
材料の詳細、配合の割合は今も秘密にされている。そうな・・・


キーンと冷えた、琥珀輝き

いにしへの甘きかほり漂う

黄昏の森のデッキ


いにしへの琥珀のかほり_d0082305_109324.jpg



浅草にお出かけの折には

是非ご賞味ください

いにしへの琥珀のかほり_d0082305_6215441.jpg

                             昔はシャトーカミヤで一升瓶で売ってましたっけ
                             電氣ブラン〈オールド復刻版〉(アルコール40度)


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by takibiyarou | 2011-07-20 06:23 | 雑観


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