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木洩れ日の森から

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2005年 04月 02日

走り花 秋


盛装の帯に疲れて菊人形


日向にも及ぶ高野の紅葉冷え


蓑虫の雨に飽きたる顔を出す


見られゐるときには跳ねず水馬



つくばいの水黒びかり望の月


天平の礎石この世の木の実打つ


猪垣を見てより山の臭い出す


海からの風しか知らず除虫菊



背もたれのなき石の椅子秋湿り


月光に馴れて静まる塒鳥


何もせぬ疲れ勤労感謝の日


真似出来ぬ母の生きざま墓洗ふ






うつたへのあるかにつくつく法師蝉


盲縞着せられあどけなき案山子


鳥籠を軒にもどして尼日過ぐ


舫ひ綱張る秋潮を振り落とし



老いてなほ田畑減らさず豊の秋


子を孫を帰してよりの火の恋し


天高しことに天文台の天


色変へぬ松人情の厚き村






地の息吹聞かむと伏せて残り菊


下手なりに喝采浴びて敬老日


コスモスの風ほしからむ地下花壇


萩活けしものより売れて陶器展



月光に応へて名古屋城の鯱


若者の明るき会話黄落期


色づきし美男葛を活け嫁さず


十人に撮られ十色の紅葉山



神木を仰げとばかり法師蝉


柿を捥ぐ同じ日ざしに石仏


骨董が好きで長居の盆の僧


活けられて一触即発まゆみの実



毬栗の踏めば心につきささる


どの花ものけぞり咲きの菊日和


小魚の味見に舌を焼く厄日


縄跳びの音にも爆ぜて鳳仙花






コスモスの地震おさまりてよりの揺れ


星よりも早く灯して星祭


うろこより小さき機影鱗雲


稲架の馬ふんばり甲斐のなき不作



供華供物似たりよったり盆の墓


流灯のさみしがりやは群れを出ず


手に取れぬものほど見事烏瓜


日の目見ぬものをふやして葛の花










■ 走り花

■ 「狩」に掲載された入選句

    誌上にて鷹羽狩行先生をはじめ諸先生方の
    御批評・御解説を賜りました

■ 受 賞 句

    マスメディアに取り上げられたり・賞を頂きました


私なりに選び集めました

■ 走り花 春 

■ 走り花 夏 

■ 走り花 秋 

■ 走り花 冬 

■ 走り花 新年

■ 五 七 五

by takibiyarou | 2005-04-02 11:24 | 五 七 五


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