2001年 02月 01日

金繕いの楽しみ

これからご紹介する金繕いは、本格的なものではありません

漆を使わずに、誰でも直に手に入る素材で行うものです



用具と工程

金繕いは、それ程難しいことではありません気楽にやってみてください

どうせ壊れた物ですので、巧くいけば儲けもの

的な感覚で楽しんではいかがでしょうか



<用意する物>

ホツ(欠け)の補修の場合
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1  ポリパテ  エポキシ系(硬化剤を混ぜて使うタイプ)の塗装 補修用の
   パテ(チューブ入り)オートバックスEtc カー用品店に有ります
   出来るだけ少量の物(使用するのは極わずかです)
2  小麦粉(小さじ1杯程度、薄力粉でも強力粉でも可)(笑)
    ポリパテの堅さの調整用です

3  爪楊枝(くろもじ が最適です、割り箸を削ってもいいです)
    ポリパテを練り、欠けの補修のヘラの代用
    捨てられる物が便利です

4  厚手の広告(光沢のある上質紙の物が最適です)ポリパテの練り台や
   カシューのパレットに使用(そのまま捨てられるので便利)
5  カシュー(漆の代わりの塗料ですが、金粉の接着剤として使 用します)
    色は、無色、黒、朱、黄色と有りますが
    金の下地用としては黄色が無難でしょう
    (使用するのは、極極小量です)
    漆のように被れたりはしません
    漆より乾燥が簡単です(漆が乾くには水分が必要で、室(むろ)の中で
   乾燥させます)
    釣り用品店に釣り竿補修用として「新漆」と称して置いてあります
6  カシュー用薄め液(テレピン油)画材屋さんに有ります
   油絵具用の薄め液です
     主に筆洗いです

7  筆
    カシュー用・・面相筆1本(極細の筆)画材店で日本画用面相筆
    金蒔絵用・・・水彩用の平筆1本(小型がいいです、幅1センチくらい)安物
   でいいです
8  耐水サンドペーパー #1000 位(細かいです)
    ポリパテの成形・研磨用です(一枚有れば十分です
9  ティッシュ
    筆洗い・ふき取り・磨き用です
10 ヘヤードライヤー
    ポリパテの硬化促進に使用
11 金粉(極極少量)0.4グラムで十分です
    (お茶碗欠けならこれで10個くらい補修出来ますよ)
    直接肌に触れる部分なので金属アレルギーの少ない金を使用する
   らしいです
    昔の人の素晴らしい知恵ですね
    金色が景色として合わない場合は、銀粉や白金粉を使用します


<金粉の種類>

   金泥粉・・・・・・・・金箔や銀箔などの箔を粉にしたもの。

       (例)純金泥 0.4g 
     
     〇 丸粉(2号)・・・金塊を削って粉にしたもので数字で号数がついています。
                数字が大きくなるほど、粒が大きくなります。
                    金泥より重みのある仕上がりになります
                       
12 瞬間接着剤(ゼリータイプが余り素早く固まらないので使いやすいです)




金繕いの工程

1日目

<ホツ(欠け)の補修>

1 器を洗剤でよく洗って、乾燥してください
   出来る限り油分を取り除きます
   (油分が残っていると、金粉が付着します)
   ひび割れの有る場合は、漂白してください

2 割れの有る場合は瞬間接着剤(ゼリータイプ)で接着します
   接着剤は、出来るだけ少量!(はみ出さない)
   余分な接着剤を十分ふき取ってください

3 ポリパテを少量広告紙に出し、爪楊枝で適量の硬化剤と混ぜて
  ください
   小麦粉を少量混ぜて、粘度を調整してください
  盛り上げても垂れてこない位です
   硬化剤を加えると数分で硬化が始まりますので、手早く!

4 練られたポリパテを少量欠けの部分に盛ります
   少し盛り上がった位がいいです
   余分なところは、後で削りますので凹みが無いように

5 ヘヤードライヤーの温風でポリパテを硬化させます

6 耐水サンドペーパーを約3センチ角くらいに破り、 水に浸し、指に巻く
  ようにして余分な ポリパテの盛り上がりを軽く削ってゆきます 
   サンドペーパーを水に付けながら、力を入れなくても楽に削れます
   耐水サンドペーパーの1000番は、多少器をこすっても、ほとんどキズ
  にはなりませんので余り神経質にならなくても大丈夫です

7 削り過ぎや、凹みを再度 4 から6 の手順で補修します

8 一日くらい乾燥させてください(手の油分を着けないように)



2日目

<金蒔絵>

 9 カシューを面相筆に付け、まず広告紙にたらし、筆のカシューの量を
   調整し、筆先を整えます
10 適量のカシューを補修した部分に塗ります
    カシューは、金粉の接着材として使用しますので、出来るだけ均一
   に薄く塗って下さい
    大きな面から塗って下さい
    カシューはそれ程早く乾きませんので慌てず、落ち着いて塗ってく
   ださい
11 割れの有る場合は、割れ目に沿って面相筆で、なるべく細く線を引く
   ように割れ目を埋めてください
    塗り終わった筆は、ティッシュに染み込ませたテレピン油でふき取って
   くだい
   テレピン油を沢山使うと後が大変です

12 ベタつかない程度に半乾燥させる
    平筆にカシューが付かない程度
13 窓を閉め、空調を止めて気持ちを落ち着けてください(笑)

14 金粉の包みを開き
    平筆に金粉を着け(この感覚です)
    10、11の部分に金粉を置いていきます
    あくまで置く感覚です、軽くとんとんです(少し多目です)

15 2時間位置き、もう一度平筆だけで 軽くとんとんです 

16 そっと明日まで置きます
    漆工芸品の金蒔絵も漆を使用しますが、ほとんど同じ工程です


3日目

<仕上げ>

17、平筆で余分な金粉を払います(回収出来るなら回収します)

18、ティッシュを堅く折り、押さえる様に拭き、塗り忘れを確認します

19、洗剤でそっと洗います

20、乾燥後、ティッシュを堅く折り、軽く磨きます


完了です
ご自分で修復された器は、また違った価値観として、とても愛おしいものです

ついつい使いたくなりますよ

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参考文献
* 「金繕い工房」原一菜 里文出版 (1998年)
*    NHK「おしゃれ工房」1999年2月号 P77?82
* 「やきもの修理法」本多郁雄 里文出版 
* 「別冊太陽 骨董を楽しむ?5 小皿豆皿1000」平凡社 (1995年)

by takibiyarou | 2001-02-01 00:01 | その他 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ぼたんや at 2015-11-15 12:11 x
お初で失礼します。

別記事ですが・・・船箪笥、いいですね。
状態も良いように見受けました。
素晴らしい。

私も一時期、釣具屋さんで販売されているカシュー漆を使って欠けやホツを直していました。
当初、紙ペーパーでエポキシ樹脂などの成型をしていましたが、釉薬にダメージを与えるので、木賊(砥草?)で擦るようにしました。
エポキシ樹脂は削れて釉薬は全く削れないと言う事で、当時は重宝して庭に植えたことがありました。

少し大きな欠けなどは素人には難しいですから何度も何度もやり直します。
仰る通り、自分で直ししたものは愛おしいです。
Commented by takibiyarou at 2015-11-18 11:50
★ぼたんやさん
コメントありがとうございます
あの船箪笥、「懸硯 (かけすずり)」と呼ばれる種類のようです
状態はいいのですが、鍵は紛失したようです
木賊を実際に使われていたのですか
我が家もたくさん植えていますので今度使って見ます
本来なら、漆を使いたいのですが
感想に時間がかかるのが難点ですね

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