木洩れ日の森から

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2017年 07月 11日

遅ればせながら「君の名は」

17-07-10

朝からうだるような暑さであります
まだ外は薄暗いはずの時刻ですが、ねっとりとした違和感に
押し包まれていると、不意に何者かに揺り動かされる
セラであります
せっかくの、熱気と寝汗による呪縛からの離脱を、積極的に受け入れます

纏わりつく、粘度の高い熱気を、シャワーで一気に洗い流す

少しさっぱりとしました

すでに玄関でお待ちのセラを連れて、お散歩

さて今日は、運転免許の更新に行ってきますか
昨日から、この暑さの中、如何したものかと考えておりましたが
やっと、踏ん切りがつきました
免許センターは自宅から車で20分くらいの所です
時間はまだまだあります

しばらくネットを徘徊しておりますと
少し前まで話題でしたあのアニメが目に入ります
新海誠監督の「君の名は」です
かなり話題になったアニメですが、爺さんの見る映画でもあるまいと
いままでスルーしておりました
「君の名は」と云うタイトルにも、若干の違和感がありました
われわれの年齢ですと(もちろん同世代ではありませんが)どうしても、あの、風呂屋をがらがらにした
名作すれ違いドラマを思い浮かべていしまいます・・・

封切からまだそれほど時間も経っては降りませんが
ネットの「裏世界」ではすでに、違法の配信が行われているようです

違法とは知りながら、つい、覗いてみます
いつもなら、一杯いただきながらなんですが・・・

物語はドラマでよくありがちな、思春期の男女の入れ替わり
辺境の村に暮らす「三葉」と、東京のイケメン高校生「瀧」
「三葉」の家は、岐阜県糸守村。宮水神社の巫女を代々勤める女系の家
このことは祖母「一葉」母「二葉」長女「三葉」次女「四葉」の名前からも窺える
そして、この女系により綿々と受け継がれてきた「組紐」
糸守村の名からして、この村にとって「組紐」はこの物語のひとつの
重要キーワードであるようです
祖母「一葉」の言を借りると
「糸を繋げるのもむすび」
「人を繋げるのもむすび」
「時間が流れるのもむすび。全部神様の力や」
「わしらのつくる組紐もせやから、神様の技。時間の流れそのものをあらわしとる」
「縒り集まってかたちを作り、捻れて、絡まって、時には戻って、途切れて、また繋がり・・・」
「それがむすび。それが時間」

絡み合い、すれ違い、また戻る、

新海誠監督の実に美しい映像美で展開されてゆく
「組紐」が織り成す空間と時間の物語

そして、「口嚙み酒」
酒の起源とされる「口嚙み酒」
また祖母「一葉」の言葉を借りると
「水でも米でも酒でも、人の身体にはいったもんが、魂と結びつくこともまたむすび」
「だから今日の奉納は、神様と人間を繋ぐための大切なしきたりなんよ」
「これから先はは隠り世・・・あの世のことやわ」
「戻るには、あんたらのいっとう大切なもんを引き換えにゃあかんよ」
「口嚙み酒さ」
「ご進退にお供えするやさ。それはあんたらの、半分だからな」

身体の半分を残しておそらく死んだであろう「三葉」との再会


鑑賞途中でしばらくストップ
少し早めに免許センターへ出向きき
待合室にてスマホで鑑賞再開
講習寸前に鑑賞を終える

眠気をこらえての2時間講習と思いきや
講師の方の軽妙なるお話に、あっという間の2時間でありましたした


講習中も少しばかり考えておりましたが
いくつかの疑問が残る
作中、瀧の飲む「口嚙み酒」が透明なこと?
滝の飲む濁り酒であるはずの「口嚙み酒」が無色透明なのは?
これは単に、白濁させると、あまりにリアルすぎるとの判断からであろう、他意はなさそうです
では、なぜ「三葉」の父である町長が彼女、いや彼の荒唐無稽な話を最後には受け入れて
祭りのさなか村人を非難させたのか?

これはもうひとつのキーワード、「黄昏時」が関係するかもしれません
「黄昏時」に事は起こる
「黄昏時」、「逢魔時(おうまがどき)」とも云う
この世ならざる物と遭遇する時間
作中で、古文の教師(同作の「言の葉の庭」の女性教師を連想)により万葉の

「誰そ彼と われをな問にそ 九月の 露に濡れつつ君待つわれそ」

この「誰そ彼」が「黄昏」の語源であると説明させています
作中では、地方の方言として「片われ時」として使われている
この「片われ」にも意味がありそうですが

「誰そ彼」、お前は誰だ
これこそが、「君の名は」なのでありましょう

しかし、入れ替わったのは二人だけではない

最初に「三葉」入れ替わりに気づく祖母「一葉」
「おはよう三葉、おや、三葉、あんた三葉やないな」
祖母「一葉」も、そして母である「二葉」もこの入れ替わりをかつて経験していたとの語り
母「二葉」の入れ替わりの相手、それはおそらく父であったのだろう
そうでなければ自分の娘「三葉」の現実離れした話に、「三葉」の入れ替わりを
目の前にいるのは「三葉」ではない別の存在であることを、一瞬のうちに理解することは
できはしないだろう
そして最後に、父である町長に言わせている 「お前は誰だ」

この父の「気付き」により、村は救われる、たぶん・・・

美しい糸守の風景、その湖の形状(隕石湖)から
遠い昔、かつてこの地に起こったであろう事態を想像することができるだろう
そして連綿と続く入れ替わりの系譜、守り継がれる組紐、そして宮水神社の儀式
それらは、もう一度起こるであろう事態に対しての布石
組紐と云う螺旋に織り込まれたDNAなのかもしれません
入れ替わりの経験者である父の家系への反発、離脱、そして町の行政を仕切る立場のの現在
そのことさえもすでに、必然として織り込まれたことなのかもしれません

全体を通してこの作品は実に軽やかであります
ジブリ作品の持つ、あの思想的な重々しさがまるでない
これも新海誠監督の作品に共通の爽やかさでありましょうか
張り巡らされた「伏線」、そしてちりばめられたなぞ解きのキーワード
読み解き、もまた楽しい

爺さんにも、楽しめた作品でありましたした
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「言の葉の庭」
「秒速5センチメートル」も大変美しい作品です


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by takibiyarou | 2017-07-11 08:28 | 雑観・雑考 | Trackback | Comments(0)
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