今年は蝉の鳴くのが遅いような気がします、長い梅雨のせいでしょうか
蝉の声を聞くとやっと夏らしく感じます。
暑くなってきた矢先、我が家の冷蔵庫にもガタがきたようです。
キッチンをリホームしたときに新調したものですので、かれこれ18年、良くぞ頑張ってくれたと思います。
この時期に冷蔵庫が壊れるとかなり困ったことになりそうです、何とかしなければならないでしょう。蝉の声に急かされる思いです。
真夏の日差しの中で蝉の声を聞くとなぜだか、昔の記憶が突然にフラッシュバックしてきます
蝉時雨・真夏の日差し・氷・泥だらけのゴム草履・・・・
昔、私が小学校2,3年生くらいの頃、我が家に氷式の冷蔵庫が在りました。
木製のごつい金具のついた上下二つ扉の金庫のようなやつです。
上の部屋に氷塊を入れ、下の部屋の食料を冷やす仕組みで、スイカ一つで一杯になる代物です。
この氷の買い出しが当時私のお仕事でした。
金額は定かではありませんが、小銭を握って買い物籠(マニラ麻を編んだ様な)持参で町内の氷屋さんへ氷を買いに行くので
す。
今では氷屋さんなどついぞ見掛けませんが、当時は町内にも在ったのでしょう。
薄暗い店の奥に入っていくと急にゾクッとするほどの涼しさと共に、シヤリ、シャリと氷を鋸で挽く音が聞こえてきます。
シヤリ、シャリと驚くほど歯のでかい鋸で挽き、最後は鋸の背でコツンと割って四角くします。
一度やりたくて仕方ありませんでした。
店の人にお金を渡し、「大丈夫か?」の声を背中に一貫目の氷を持って帰ります。
真夏の日差しが容赦なく降り注ぎます。
その真夏の日差しが、買ったばかりの氷を融かします。そして滴る氷水が短パンを濡らし足を伝います。
当然その頃は舗装などされていません。
籠の持ち手が食い込み、しばし立ち止まると足元は泥んこ。泥だらけになったゴム草履はぬるぬると滑って益々足を引っ張り、
頭には家に辿り着くまでに氷が融けてしまうのではないかと言う不安と、家で待っているであろうオレンジ味のジュースとが交
差します。
少しづづ融けて軽くなるはずの氷はどう言うわけか段々重くなっていくのも不思議です。
同じ町内のお店ですからそれほど遠いわけではない筈ですが、終いには引きずる様な状態となり、それでも何とか辿り着き肘で
玄関を開け、声も絶え絶えに母を呼びます。
母に氷を渡し、足拭きの雑巾を待つ間の心地よい疲労感と、成し遂げた充実感に浸りながら
玄関の上がり框に腰を下ろし見上げれば
薄暗い玄関と対照的に夏の日差しが真っ白に輝いていました。
ふと気付くと
割れんばかりの、蝉時雨
写真は記憶に基づきお借りして来ました