2006年 10月 20日
森の木の葉が色づいてくると、なんだか落ち着きません あの美しさは 現 でしょうか、はたまた 幻 色んな気配が見え隠れ、もののけたちの気配でしょうか 上野の科学博物館で「化け物の文化誌」と銘打ったユニークな企画展が開かれています。 科学の殿堂「国立科学博物館」と「化け物」との取り合わせも不思議ですが。 「現代科学に馬鹿にされた化け物たちも、昔は実在として考えられていました。このことを馬鹿にするなら未来において現在の科学者たちが同じように馬鹿にされることにもつながります。地理学的にも、生物学的にも十分な情報の無い時代においてはこれらの「化け物」たちが当時の文化に与えた影響ははかり知れないものがある。」 そんな考えのもとに開かれた展示会です。 我が「けったいな物コレクション」と同じような臭いを嗅ぎ取り、先週ちょっと早めに逢って来ました、「化け物たち」と。 天狗や人魚のミイラなどがマスコミに取り上げられていますが、それだけではなく、真面目にきっちりと「化け物たち」を扱っていて好感が持てます。 河童、麒麟、龍、鬼、猩々、をはじめ百鬼夜行に登場するさまざまな、魂を持つ道具の化け物たち。 日本の本草学の中でそれらは立派に生存し分類されています。 本草学は医学的な観点からの植物学から発展しやがて日本では動物、鉱物を含む博物学的な学問に進化しました。 その中で「化け物たち」も重要な役目を果たしているのです。 物理学者の寺田寅彦は著書のなかで「世界に化け物が満ち溢れているほど、そこには科学が芽生える。もしかしたら、京都で優れた科学者が育まれたのは、京都に化け物が多いからかもしれない。」と言う。 また「化け物を増やせ」と過激なことまで言っています。 それだけ「化け物たち」は未知なる物への好奇心の顕れなのでしょう。 また寺田寅彦によると「お化け」は幼児言葉で幽霊、亡霊を指すために混同されがちですが、「お化け」はあくまで「器物」や「動物」の変化(へんげ)したもの。 物を粗末に使い、捨てることによって後で化けて出てくる。これがお化けである。 無下に殺生され、恨みを抱いて死んだ動物などが違う姿をとって現れるのもお化けと言える。 化生(けしょう)という呼び方もある 「妖怪」、「魑魅魍魎」、「物の怪」、と多くの呼び名が生まれるほど当時たくさんの「化け物たち」が闊歩していたのでしょう。 日が暮れるとこのあたり高原の森にも気配が漂いはじめます。 その中にはきっと動物たちの気配に混じり「物の怪たち」もいるはずです。 その証拠に「もののけ姫」、このアニメなんと、高原との関わり合いも深そうです。 アニメに登場のタタラ場集団を率いる「エボシ御前」の「烏帽子」はここ富士見高原の地名なのです。 そればかりではありません、猪の化け物「乙事主」の「乙事」もまたこのあたりの地名で、そこには「おっこと亭」という蕎麦屋まであります。 そして「鹿神」(シシ神)、このあたり多くの鹿の生息地でもあり、「鹿の湯」という温泉もあります。 また、シシ神の夜の姿である「ディダラボッチ」は昔から八ヶ岳山麓に生息してたともされています。 そしてまた、このあたりで秋に採れる「ハナイグチ」というキノコ、この地方では「地香坊(ジコボウ)」と呼ばれます 山梨との県境の「甲六川」、また「小六」の地名まで 役者は出揃ったではありませんか。 しかしまだ「偶然だろう」と言う人も居られますが、なお決定的な事が有ります。 それは当の本人、「宮崎駿監督」自身がここ富士見町の森人だということです、多くの日々をこの地で過ごされるそうです。 なので舞台はここ、ノエルの森の奥深くに相違ありません、 ここらあたりの森人はそう信じきっているのです。 ノエルが森の向こうをジーと見ています 森も夕暮れ、 逢 魔 時 一杯 付き合ってくれそうな 奴 はいませんか 「化け物の文化誌」展 寺田寅彦随筆集第二巻/ 化け物の進化
by takibiyarou
| 2006-10-20 06:24
| 雑観
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