2007年 10月 10日

翁 の 森

07-10-6

さて今日何をしましょうか

朝食のあと、デッキでふと思いつきネットで検索
いつものお風呂への通り道、気になる小路が有ります、「白林荘」
ちょっと行ってみたくなりました

ここ富士見高原は数多くの文人墨客たちのゆかりの地であることは前にも書きました
そんな中の一つに「白林荘」があります
一万坪の荘内は新緑、紅葉がとても美しいと聞き及んでいます
この「白林荘」は、あの犬養木堂翁(犬養毅)が余生をこの地でおくるために建てたところで
白林とは木堂翁がこよなく愛したこの地の「白樺」のことなのです

犬養毅のことは私が解説することでもありませんが
備前国庭瀬藩で生まれた犬養毅は書にも長け、その号を木堂と称し明治中期から昭和初期にかけて
政党政治の確立に貢献した清廉潔白な非常にすぐれた政治家でありました
一度政界を引退し、この「白林荘」で余生を送っていたのです

しかしそれでは地元岡山の選挙民は納得しませんでした

本人の了承を得ないまま、彼の引退に伴う補欠選挙に犬養自身を再び当選させてしまったのです
そんな前代未聞のいきさつで再びやむなく政界に復帰した犬養は76歳のとき第29代の首相となり、満州事変の解決にあたります
しかし
昭和7年5月15日首相官邸において海軍青年将校の凶弾に倒れたのです
あの5・15事件です

銃を向ける青年将校たちに
「まあ、靴でも脱いで座れ、話せばわかる」と言った最後の言葉はあまりにも有名です

そんな犬養木堂翁ゆかりの「白林荘」は私たちのいつも通う、100%掛け流しのお風呂の近くにあります
現在はあの「風立ちぬ 」の舞台となり、また同じ岡山出身「竹久夢二」の終焉の地でもある
富士見高原病院の福利厚生施設として利用されているようです
そのことは知ってはいましたがまだ足を運んだことはありませんでした
事前に予約が必要との情報のためです

まだ紅葉には早いですが、行って見ようと思います

検索で見つけた番号に電話し、管理の方に見学したい旨お願いすると
「何名でしょうか」
「いえ、私一人なんですが」
「そうですか、どうぞどうぞ、お越し下さい」
「これからでもかまいませんか」
「どうぞお越し下さい、お待ちしております」
と、丁重なるご許可を頂き、ノエルにお留守を頼んで出かけました

いつもの20号線の交差点を入笠山方向に左折するとすぐに、鬱蒼の森のトンネルが目に入ります
大きな自然石に「白林荘」と刻んであります
「無断進入を禁ず」の立て看板をすり抜け、細い森の路に入りしばらく行くと
平屋の建物が見えてきます
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老齢のご婦人が一人立ってこちらを見ています、車で近付きますとご丁寧にお辞儀され
「先ほどのお電話の方ですか、駐車はどうぞこちらへ」とご親切にご案内下さいます
近くで作業されていた管理の方も来られ
「どうぞご自由にご覧下さい、建物は後でご案内致します」とご許可を頂き
人気のない森を散策です
一万坪のお庭と聞いていましたので、兼六園とか後楽園などの庭園を想像していました
しかし、想像とはまるで違い、そにはただ森あるのみです
あれだけの地位と名声を得てたどり着いた「終の棲家」のお庭がこの森なのですね
まるで作為の臭いが有りません、すでに自然との折り合いがついているようです
そんな翁の感性が実に素敵です
作為が見えてこない森ですが、さすがに手入れが行き届いている事は見て取れます

誰もいない森を歩きます

「木堂翁」もこの森をこうやって歩いたのでしょうか
政界に復帰するまでの数年間をここでこうやって過ごしたそうです
紅葉にはまだ少し早い様ですが、その時期はそれは見事なことでしょう
少し開けた所では、山百合の群生です
花の時期にはその香りでむせ返るほどではないかと想像されます
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でもこうやって一人で歩けるのはこの時期だからでしょうけれど

管理人の方がわざわざ玄関を開けてくださいました
表周りのサッシュ以外は昔のままだそうです
造りはびっくりするほど質素です、飾り気のないその室礼(しつらい)は決して高名な政治家の別荘とは思えません
広大な森の中に有って、堅実、質素を貫く翁の人柄なのでしょう
こんな家を「終の棲家」と定めたのですね、素直に素敵です




心静かな時を持つことが出来ました


「またお越し下さい」

上品な管理の方に送られて

鬱蒼の「翁の森」を後にします

再び来たい素敵な森です


紅葉のころ



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by takibiyarou | 2007-10-10 06:46 | 八ヶ岳 | Trackback | Comments(0)
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