2009年 04月 17日
「森に滴らしこまれた、一滴の墨色」 朝露に濡れた森に一滴の墨を垂らすと、墨は滲み広がってゆきます どこまでが森でどこからが墨色なのか、判然としないファジーな存在 そんな山荘でありたいと こんな想いで今回のリホームをはじめました そこにはたくさんの想いと、幾つかの企てがあります ■踊り場空間 我が山荘は1.5m位の高床式です なので、まづはこの高さまで上らなければなりません、それはそれでいいのですが もう少し歳月を重ねていくうちに、少ししんどくなるのかも知れません そこで、考えたのが踊り場空間、各部屋を階段の途中の踊り場と見立てます 既存の山荘はほぼ真四角、その四角の左下にL形に「宴の間」と「キッチン」を増築する計画なのですが 森のアプローチから3段位ほど上がると、「外廊下」 その左には「くぐりのある大戸」、玄関と呼ばれる風除室です 靴脱ぎの敷台を一段上がり、上がり框をもう一段上がると「宴の間」と「キッチン」フロア そして、「宴の間」の一間巾の階段を3段上がると、既存のフロア、薪ストーブのある「炎の間」です この段階で1.5m位の高床を上がりきったことになるのです また「外廊下」の右、1段上がって「屋根付きのデッキ」そこから勝手口を2段上がって「キッチン」へ また3段上がると「炎の間」に通じます 少しずつ、いつのまにか上っているスキップフロアなのです バリアフリーには逆行してますが、足腰の鍛錬にはよさそうです ■厨房回遊 我が山荘「猩壺庵」の中心はやはりキッチンです 今まではキャンプに等しいくらいのキッチンでしたが、なんとか増築してと考えました そしてこのキッチンはまさに中心に位置します 「屋根付きのデッキ」に接し、もちろん「宴の間」とはオープンカウンターで接します、そして3段上がり直接「炎の間」にも繋がる仕掛け お互いの気配を感じながら作業が出来ます ■外なる内、内なる外 森と同化するような「外廊下」から「屋根つきデッキ」、本屋根のデッキには腰壁もあり、チョッと東屋の趣です 屋根と腰壁、そして柱によって切り取られた森の風景、外なる内 風除室の大戸を開ければ森と一体になれますが、小鳥やリスに習い、くぐり戸からそっと巣入りいたします 「宴の間」の西壁、柱で仕切られた数面の大きなはめ殺し窓に切り取られた森、木洩れ日と共に、内なる外 腰壁だけで仕切りの無い「炎の間」は陰りの間です、その薄闇に揺らめくオーロラの炎、内なる外 そして、千本格子戸の奥「方丈間」、四畳半の琉球畳が敷かれ、三方を藁すさの土壁に囲まれた茶室風 その北側の土壁下部に開かれた「雪見の窓」 そこから見えるのは、唐松の根っこと真っ白な雪 その雪に兎の足跡など見つけたら、またまたお酒が進むでしょう、内なる外 そんな森との関わりを夢想しています ■温石(おんじゃく)ほどの暖かさ 厳しいお山の冬を過ごすために、「宴の間」と「キッチン」の床は二重床で、その床下には蓄熱暖房機がはめ込まれます この床暖房はすでにハービーグ家で実証済みですが、今回は「宴の間」の床中央部に大きな「掘り炬燵」が切られます ご予算の問題もあり小型の蓄熱暖房機ですが、お安い深夜電力で蓄熱し、24時間自然放熱されるものです 決して暖かいとまでにはいたらないでしょうけれど、それでも氷点下にはならないでしょう 後は薪ストーブで補助暖房、心もすこし温かくなるでしょう ほんわかな人肌の温もりを期待です、温石ほどの暖かさ ■登り窯式 二重床に切られた「掘り炬燵」からの人肌の温もりが空間を暖めてくれます、その温もりはやがて間仕切りの無い「炎の間」へと上ってゆくでしょう、そして、吹き抜け二階の寝室へと伝わります 千本格子戸の隙間から奥の「方丈間」にも、暖かさが伝わってくれるとありがたいですが ■魔法瓶 そんな僅かな、貴重な暖かさを保持するために、家全体を真綿で包みます、外張り断熱 そしてツインガラスの窓、できるだけ高価な寒冷地仕様のサッシュを減らす為、はめ殺しの窓を多用する予定です ■酒蔵 なんといっても猩壺庵の要は酒蔵、キッチンの奥に一坪の冷蔵庫を作ります と言っても電気冷蔵庫では有りません、ただ暖房のない倉庫、それだけなんですがね 現在和室を食料庫として利用しているのですが、これがすこぶる便利 なので今回は専用の冷蔵庫を用意します、猩壺庵の天然ワインセラーです ■木陰 木洩れ日と戯れ、木陰に安らぐ そして闇に揺らめく炎に酔う そんな「光と蔭り」を楽しめる空間でありたいものです そして外観はモノトーンで統一され、森の木陰と同化してもらいましょう 決して目立ぬように心がけ 森に滴らしこまれた、一滴の墨色に こんな想いでいますけれど さて どこまで実現できますやら 猩 壺 庵---完成後の検証として---- 一滴の墨色 アプローチ デッキ くぐり戸から玄関 宴の間より玄関 宴の間 炎の間 炎の間より勝手口 千本格子と茶室
by takibiyarou
| 2009-04-17 11:04
| 猩壺庵
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