木洩れ日の森から

komorebit.exblog.jp
ブログトップ
2012年 11月 30日

入内雀

父の残したコレクションの中に金泥色紙の大和絵があります

藤原實方とあり

百人一首風の大和絵に

有名な歌が添えられてあります

何方の筆になるかは判りませんが

これが実に達筆、優雅な筆使いに見惚れます

歌は

           「桜がり雨はふりきぬおなじくはぬるとも花のかげにやどらむ」
 
         
藤原實方は『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルの一人とされることもある、当代きってのプレィボーイ


そんな實方の身にこの歌が発端となり、事件はおこります

d0082305_89595.jpg



桜刈り、一条天皇は宮中の人々とお花見に出かけます
ところが突然の雨
人々は東屋に雨宿りいたしますが、藤原実(實)方はただ一人
桜の下に留まり、花陰でこの歌を詠みます

お花見なのに雨が降ってきたけれど
どうせ濡れるのならば花と共に濡れましょう
と、そんな意味なんでしょうか

この歌は宮中の人々の喝采を集めますが
ただ一人、若い藤原行成だけが

「技巧に過ぎて、真実味が無い」と批判します

この批判に短気な実方は怒り、行成の冠を奪い庭に打ち捨てしまいます

対し行成は、大人の振る舞い

何も言わず、供に拾いに行かせます
このいきさつをご覧になられた一条天皇は
實方の振る舞いを叱り
「枕詞にある陸奥の三松、その中でも阿古耶の松はまだその所在が解らない、 これを見て参れ」
と命じます

これは、陸奥への左遷です

そして一方の行成を蔵人頭(くろうどのとう)に取り立てます

しかし實方は松を探せば直に都に帰れると高をくくり、単身陸奥へ向います

どうも、實方がこんな大人気ない行動に出てしまったのには訳があったようです
誰しもが認める相愛の仲でありました清少納言に、若い藤原行成が急接近

清少納言も行成に歌を送ります

    「夜をこめて 鳥のそらねははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ」

    まだ夜中だというのに鶏の声を真似して私を騙そうとしても、逢坂の関が決して人を通さないように
    私は貴方に騙されませんよ

ちょっとした三角関係の様相です


實方の奥州行きを知った清少納言は歌を贈ります

    「思ひだにかからぬ山のさせも草 誰か伊吹の里は告げしそ」  

    貴方が陸奥の息吹の里にまで行かなくてはならないとは驚くばかりです

この歌に、實方の返歌

    「かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしもしらじな燃ゆる思ひを」

    私の思いは”どうだこうだ”言い表しがたい燃えるようなものですよ
      (さしも草とはもぐさの原料となるヨモギのことらしい)

また、清少納言も歌を返します

    「とこもふち淵も瀬ならぬなみだ河 袖のわたりはあらじとぞ思ふ」

    貴方との別れが悲しすぎて袖が涙で濡れています

かくして実方は都から奥州古道を陸奥に向けて下ります


そして

長徳4年12月(999年1月)

任国で実方が馬に乗り笠島道祖神前を通った時
乗っていた馬が突然倒れ、下敷きになってしまいます
没時の年齢は40歳ほどだったという
当時の陸奥は地区の孤島ともいうべき土地
実方はこの仕打ちへの怨みと京都への想いを募らせつつ
失意の内に陸奥で没したのでした

そして都では
都に実方の訃報が届くと同時に、奇妙な噂が流れ始めます
毎朝、京都の内裏の清涼殿へ1羽の雀が入り込み、台盤(食事を盛る台)の飯をついばんであっという間に平らげてしまうというのです
人々はこれを、京に帰りたい一心の実方の怨念が雀と化した、もしくは実方の霊が雀に憑いたといって内裏に侵入する雀であることから「入内雀」、または「実方雀」と呼びました

またこの雀は、農作物を食い荒らしたともいい

人々はこれを実方の怨霊の仕業として

大いに恐れたという


          ウィキメディアより








にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

by takibiyarou | 2012-11-30 08:10 | 物語 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : https://komorebit.exblog.jp/tb/17328158
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by chatadon-06 at 2012-11-30 10:23
ニュウナイスズメは雀の柄違いの亜種?くらいの認識で、「にゅうない」は地名だとばかり思ってました。
そんな深い由来があったんですね。

あれ?
それとも全く別の話で、「じゅだいすずめ」?
頓珍漢な勘違いだったら、(・・;)すいません。
Commented by takibiyarou at 2012-11-30 12:13
chatadonさん
いいご指摘ですね
確かに「入内」は「じゅだい」と読みますね
しかし、この場合は「にゅうない」と読んでいるようです

実在のニュウナイスズメ
スズメのほっぺたにある斑をニュウというらしいのですが、そのニュウがないから、ニュウナイスズメとか
またこの伝説が名の由来とか
諸説あるようです
Commented at 2012-12-01 00:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by takibiyarou at 2012-12-01 06:37
鍵コメさん
私も万葉仮名、読めません
書かれた内容を知っていて、それにあてはめて見てもなかなか判読できませんね
源氏物語は断片的にしか読んだことがありません
読んでみたいとは思うのですが・・・
名前
URL
画像認証
削除用パスワード


<< 大惨事      なんだろう?? >>