木洩れ日の森から

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2007年 02月 22日

蕉門十哲 その一

お仕事が忙しくなり途中で止まっていた母の句集をやっとHPにUP
そのプリントアウトを母に送る準備をしているところに母からの荷物が届きました
厳重な荷を開けてみると風呂敷包み
例の「蕉門十哲」の軸のようです

包みを解くとそこには三重の箱が有ります
箱はかなり時代のある物で箱書きには達筆で十哲の名前が記してあります
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芭蕉翁を筆頭に、まず其角、嵐雪、の二人を置き次に支考、越人、丈草、去来、の四人
そして野坡、許六、北枝、杉風、と順位を置いています

やはり十哲の中で最初に来るのが「其角」のようです

宝井其角(たからい きかく)

寛文元年(1661)7月17日~宝永2年(1705)2月29日)
江戸下町堀江町(一説にはお玉が池)に、医者竹下東順の長子として生まれ
蕉門第一の門弟だが、蕉門きっての放蕩児でもあったようです
芭蕉とは尊敬し合う関係と同時にライバルとしての感情も強く、去来を蕉門に誘うなど、一門のリクルート役でもあり門弟の中で唯一芭蕉の死に立ち会った
芭蕉没後派手な句風で、洒落風を起こし、その一派は江戸座と呼ばれ

「夕涼みよくぞ男に生れける」は洒落な其角の代表句です

そして宝井其角といえば歌舞伎にもご登場ですね
義士外伝・「土屋主税」(つちやちから)
赤穂の浪士・大高源吾は打ち入りの前夜、俳句の宗匠・宝井其角の邱を訪れる
先客の門人、落合等から故主・浅野侯の仇討ちの志を問われるが、源吾は我が心中を秘して不甲斐なき不忠の武士を装う
其角はその本心を試すべく「年の瀬や、水の流れと、人の身は」と読みかけるが、「明日待たるる、其の宝船」とのみ付け句して去って行く
 さて翌日、吉良邸の隣家、土屋主税は其角らを呼び俳会を催すのですが
門人の落合等は腰元・おそのが大高源吾の妹と聞き、同席するも身の汚れと言い捨て退去する
しかし主税は「宝船」の付け句から源吾の真意が仇討ちにあることを看破
その時、隣家吉良邱より討ち入りの物音が・・・・
というあのお芝居です
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さて軸に話を戻しましょう、最初から難問です

□ □ と せ の・・・・

最初の文字はなんでしょう? 母は「はたとせ」ではと申しますが?

なるほど、はたとせ(廿歳)と読むと少し意味が解かるようです


   は た と せ の 小 町 の ま ゆ に 落 花 か な 

                 
   散り行く花の憂いでしょうか

小町といえばこんなお話もあるようです
小野小町は朝廷から乞われて雨を請う和歌を詠み、雨を降らせ「雨請小町」と呼ばれたと伝えられています
「千早ふる神も見まさば立さわぎ天の戸川の樋口あけたまへ」(小町集)

そして能因法師もまた伊予の国守、藤原範国の求めで詠まれました
  「天の川 なはしろ水にせきくだせ 天降ります神ならば神」(金葉和歌集)

元禄6年6月27日、室井其角は三囲稲荷に参拝した時、農民たちの雨乞いの祈祷に出会いました、身なりから坊さんと間違われ、雨乞いの祈祷を頼まれますが「いえ、私は俳人で坊主ではありませんので」
と告げ、能因法師や小野小町の故事に因んで一句
  「夕立や、田を三囲の神ならば」
その翌日、雨が降ってきて農民達は大喜び、其角も奇跡というものはあるものだと一緒に喜んだということです


ノエルの森の春はまだまだ先のようですが

花の散りゆく頃

宴の肴といたしましょう








なきがらを笠に隠すや枯尾花  (『枯尾花』)

切られたる夢は誠か蚤の跡  (『花摘』)

雪の日や船頭どのゝ顔の色  (『あら野』)

松かざり伊勢が家買人は誰  (『あら野』)

すごすごと摘やつまずや土筆  (『あら野』)

夕がほや秋はいろいろの瓢かな  (『あら野』)

いなずまやきのふは東けふは西  (『あら野』)

紅葉にはたがおしへける酒の間  (『あら野』)

さぞ砧孫六やしき志津屋敷  (『あら野』)

かはらけの手ぎは見せばや菊の花  (『あら野』)

菊のつゆ凋る人や鬢帽子  (『あら野』)

その人の鼾さへなし秋のくれ  (『あら野』)

花に酒僧とも侘ん塩ざかな  (『あら野』)

燕も御寺の鼓かへりうて  (『あら野』)

落着に荷兮の文や天津厂  (『あら野』)

雀子やあかり障子の笹の影  (『続虚栗』)

草の戸に我は蓼食ふ蛍哉  (『虚栗』)

声かれて猿の歯白し峰の月  (『句兄弟』)

半俗の膏薬入は懐に   (『嵯峨日記』)

野分より流人に渡す小屋一つ   (『嵯峨日記』)

気晴ては虹立空かよもの春   (貞亨4年歳旦吟)

夕立や田を見めぐりの神ならば  (『五元集』)

我が物と思へば軽し笠の雪  (『雑談集』)

この木戸や鎖のさゝれて冬の月  (『猿蓑』)

はつしもに何とおよるぞ船の中  (『猿蓑』)

歸花それにもしかん莚切レ  (『猿蓑』)

雑水のなどころならば冬ごもり  (『猿蓑』)

寝ごゝろや火燵蒲團のさめぬ内  (『猿蓑』)

はつ雪や内に居さうな人は誰  (『猿蓑』)

衰老は簾もあげずに庵の雪  (『猿蓑』)

夜神楽や鼻息白し面ンの内  (『猿蓑』)

弱法師我門ゆるせ餅の札  (『猿蓑』)

やりくれて又やさむしろ歳の暮  (『猿蓑』)

有明の面おこすやほとゝぎす  (『猿蓑』)

花水にうつしかへたる茂り哉  (『猿蓑』)

屋ね葺と並でふける菖蒲哉  (『猿蓑』)

六尺の力おとしや五月あめ  (『猿蓑』)

みじか夜を吉次が冠者に名残哉  (『猿蓑』)

菊を切る跡まばらにもなかりけり  (『猿蓑』)

むめの木や此一筋を蕗のたう  (『猿蓑』)

百八のかねて迷ひや闇のむめ  (『猿蓑』)

七種や跡にうかるゝ朝がらす  (『猿蓑』)

百八のかねて迷ひや闇のむめ  (『猿蓑』)

うすらひやわづかに咲る芹の花  (『猿蓑』)

朧とは松のくろさに月夜かな  (『猿蓑』)

うぐひすや遠路ながら礼がへし  (『猿蓑』)

白魚や海苔は下部のかい合せ  (『猿蓑』)

小坊主や松にかくれて山ざくら  (『猿蓑』)

とばしるも顔に匂へる薺哉  (『炭俵』)

ねこの子のくんづほぐれつ胡蝶哉  (『炭俵』)

鶯に薬をしへん聲の文  (『炭俵』)

あだなりと花に五戒の櫻かな  (『炭俵』)

かつらぎの神はいづれぞ夜の雛  (『炭俵』)

ほとゝぎす一二の橋の夜明かな  (『炭俵』)

五月雨や傘に付たる小人形  (『炭俵』)

家こぼつ木立も寒し後の月  (『炭俵』)

笹のはに枕付てやほしむかへ  (『炭俵』)

茸狩や鼻のさきなる哥がるた  (『炭俵』)

包丁の片袖くらし月の雲  (『炭俵』)

凩や沖よりさむき山のきれ  (『炭俵』)

誰と誰が縁組すんでさと神樂  (『炭俵』)

海へ降霰や雲に波の音  (『炭俵』)

秋の空尾上の杉に離れたり  (『炭俵』)

花笠をきせて似合む人は誰  (『炭俵』)

寝時分に又みむ月か初ざくら  (『続猿蓑』)

守梅のあそび業なり野老賣  (『続猿蓑』)

鶯に長刀かゝる承塵かな  (『続猿蓑』)

しら魚をふるひ寄たる四手哉  (『続猿蓑』)

花さそふ桃や哥舞伎の脇躍  (『続猿蓑』)

明る夜のほのかに嬉しよめが君  (『続猿蓑』)

曉の雹をさそふやほとゝぎす  (『続猿蓑』)

朝貌にしほれし人や鬢帽子  (『続猿蓑』)

柚の色や起あがりたる菊の露  (『続猿蓑』)  

初雪や門に橋あり夕間暮  (『続猿蓑』)

朝ごみや月雪うすき酒の味  (『続猿蓑』)

年の市誰を呼らん羽織どの  (『続猿蓑』)

by takibiyarou | 2007-02-22 06:51 | 雑観・雑考 | Trackback | Comments(0)
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